4か月で、社員が7つの業務にAIを実装した
部門横断のパイロットチーム11名が、土木・建築・財務の実業務にAIを組み込み、 2026年8月に社長・役員へ成果を報告しました。 作ったのはフィネットではありません。佐田建設様の社員です。
実務で確認された効果
施工計画の草案作成
積算数量の算出
工事実績の検索
説明動画の制作
これらはフィネットが代わりに作った数字ではありません。 4か月前まで生成AIを業務で使っていなかった社員が、自分の担当業務で出した数字です。
最初の2か月は、AIを触らせていません
よくある失敗は、初日からツールを配ってしまうことです。 使い方は覚えても、出てきた答えの良し悪しを判断できないため、 そのまま貼り付けた資料が回り始めます。
そこでこのプログラムでは、前半2か月をビジネス文書作成の演習とAI操作の基礎に充てました。 構成の組み立て方、あいまいな表現の排除、読み手が判断しやすい資料の作り方。 実装に入ったのは、その土台ができてからです。
2026年4月 – 5月 土台をつくる
ビジネス文書作成演習、AI操作の基礎。 AIに何をどう指示すれば使える答えが返るのか、その前提となる書く力と考える力から。
2026年6月 – 7月 実務に実装する
「生成AI業務活用フェーズ2」。各自が自分の担当業務からテーマを選び、 検証で終わらせず、実際の業務で使える形まで作り込みました。
2026年7月 – 8月 経営に報告する
7月30日に成果発表会。8月6日に社長・役員へ報告。 効果を数値で示し、運用計画とリスク管理策まで含めて提示しました。
体制
部門横断のパイロットチーム11名。土木3名、建築4名、財務2名、情報システム2名。 特定の部署だけで進めなかったことが、成果が7件に広がった理由だと考えています。 AIが効く業務は部門ごとに違い、それを見つけられるのはその部門の人だけだからです。
7つの取り組み
工事実績のAIナレッジ検索
約20年分・626件の竣工報告書は紙で保管され、必要なときに探せませんでした。 OCRで読めるPDFにしてSharePointへ集約し、Microsoft Copilot Studio で検索専用のAIエージェントを構築。 3,871件の工夫工事が検索できるようになりました。
新規入場者教育動画の内製化
OpenAI Codex でスライド・構成・ナレーション原稿を作り、 DaVinci Resolve で編集、Google AI Studio で音声化、Vrew で字幕。 外注していた制作を社内で完結させ、現場の変更要望にも即応できるようになりました。
設計初動の高度化
施主要望をもとにAIと対話し、ゾーニング案を10案以上作成。 設計者が実現性・動線・コストで比較し、施主提案用の3案に厳選します。 利用シーンの画像も生成し、早期の合意形成につなげました。
施工計画の草案作成
入札説明書・現場説明書・図面・現地の位置情報・過去の様式を読み込ませ、 指定様式の施工計画案(Word)と現地調査用資料(PDF)を出力。 第1案の文章出力までは約30分、加筆修正を含めて約2時間でたたき台になります。
現場説明動画の内製化
住民向けの現場説明を、紙の資料から動画へ。 現場固有の図や数量を反映でき、修正も社内で即時に反映できます。 工事ビラ・工事看板のQR、字幕版への展開も検証しています。
積算数量の算出
図面と数量表を入力し、AIが数量・計算式・規格別内訳を出力。 人は確認と判断に集中します。 AIの算出値と実績値の差は、検証したすべての項目で3%未満に収まりました。
決算説明資料の内製化と動画化
外部委託していた決算説明資料の作成を、OpenAI Codex を使って内製化。 音声・字幕付きの説明動画まで制作し、ホームページでの公開が可能になりました。 資料作成にとどまらず、投資家向けの情報発信へ用途が広がっています。
経営報告で使われた資料から
発表資料も社員が作成しました(建築チームの資料は、AIを使って作成したと報告されています)。 効果と運用ルールを示した3枚を、佐田建設様の許諾を得て掲載しています。
AIの出力を、そのまま出さない
この取り組みで最も評価しているのは、時間短縮の数字ではありません。 社員が自分たちで運用ルールを作ったことです。
- 事実誤認・生成ミス → 現場担当者と技術部の二重確認
- 著作権・利用条件 → 自社資料と利用条件を確認済みの素材のみ使用
- 機密・個人情報 → 入力してよい情報を定義し、公開可否を確認
- 発音・字幕・表現 → 公開前チェックリストで最終確認
積算では、数量だけでなく計算式と内訳も出力させています。 担当者が根拠を追えるようにし、ブラックボックスにしないためです。 設計では、最終判断と設計責任は設計者が持つと明記されています。
これは、フィネットが研修で繰り返し伝えてきたことが、現場のルールとして根づいたということです。 AIを使いこなすとは、速く出すことではなく、出てきたものに責任を持てる状態を作ることだと考えています。
案件概要
- お客様
- 佐田建設株式会社様
- 期間
- 2026年4月 – 継続中(成果報告 2026年8月)
- 体制
- 部門横断のAI活用パイロットチーム 11名(土木3・建築4・財務2・情報システム2)
- 支援内容
- ビジネス文書作成演習/AI操作の基礎/各業務へのAI適用の指導/ 総合評価落札入札の提案資料の品質向上に向けた訓練/社内事務でのAI活用技術の習得指導/ 経営報告資料の作成支援
- 使用したツール
- OpenAI Codex、Microsoft Copilot Studio、SharePoint、 Google AI Studio、DaVinci Resolve、Vrew
同じお客様で、イントラネットの内製化移行も担当しました。